引っ越して1週間
引っ越して、1週間たってしまった。眠るための部屋に、段ボール箱はまだ山積みだった。
夜はテーブルを隅に押しやってどかしてから、布団を2枚ぎゅうぎゅうに並べて3人で寝ている状態から脱していない。
来週も段ボール箱はきっとこのままだろうと、私は力なく思った。
本を読む気もしない。
テレビは持ってこなかった。
(子どもにテレビを見せたくなかったので)
ラジオもつけない。
カセットテープもCDも、ダンボール箱から出していない。
なんの刺激もない家。
そして誰も、私が離婚してひとりになって苦しんでいることを知らない。
誰も、私がうつになっていることに気づきもしない。
息することさえめんどうで、
子どもがいなかったら食事もしないで、私は昼間もずっと布団で寝ていたかもしれない。
子どもたちを生かさなければならないことが、
私が布団から立ち上がる唯一の理由だった。
友人からの奇跡の電話
そんな日曜日の朝。
呼び出し音が鳴った電話をとると、以前住んでいたときの友人のあんなちゃんだった。
ずいぶん久しぶりの電話だった。
どうしたのかな、今頃あんなちゃん、
なんの電話だろうといぶかしく思っていると、
「今日は地区の運動会があって、役員だから出なきゃいけないんだけど、
その後、そっちに行こうかってお父さんと話したんだ」
とあんなちゃんがいきなり言った。
えー!!
うちに来てくれるの!?
この家に引っ越して、初めてのお客さん。
両親さえまだ来たことのない家に、あんなちゃん一家が泊まりに来てくれる!
うれしかった。
ただただ、ありがたかった。
あんなちゃんは、「元気?」とは聞かなかったけれど、
きっと離婚後の私を心配して来てくれるに違いない。
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